犬椎間板ヘルニアのレーザー治療 〜 PLDDの有効性を考える 〜
犬の椎間板ヘルニア

ダックス、シーズー、ビーグルなどの軟骨異栄養型の犬種に多発します。これらの犬種では、ハンセンⅠ型(逸脱型)が一般的に最も多く、突然に歩行困難になるケースもあります。
それ以外のケースでは、中年齢以降の加齢に伴い発症するハンセンⅡ型(突出型)があります。症状としては患部の疼痛、不全麻痺などがみられます。
しかしながら、これらの分類は重複するところもあり、単純に分類されるものではありません。CTやMRI、背髄造影検査などによる画像診断と臨床徴候から治療プランが立てられます。
神経学的検査による分類
( 参考文献「症例から学ぶ椎間板ヘルニアの診断と治療」諸角元二 )
- ● グレードⅠ
- 歩行可能、患部疼痛
- ● グレードⅡ
- 歩行可能、よろめき歩行
- ● グレードⅢ
- 歩行不能、排尿機能正常
- ● グレードⅣ
- 歩行不能、排尿機能障害
- ● グレードⅤ
- 歩行不能、深部痛覚消失
犬椎間板ヘルニア治療について
- ● 内科療法
ハンセンⅡ型など、グレードの低いものにおいて行われる。完全な運動制限(ケージレスト)+ステロイド剤治療
- ● 外科療法
歩行不能など高いグレードのケースでは椎弓切除術などの外科手術が行われる。
- ● PLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)
Percutaneous〈経皮的〉Laser〈レーザー〉Disc〈椎間板〉Decompressin〈減圧術〉。 外科手術に至る前の治療法として効果が期待される。脊髄造影と臨床徴候から適応を判断する。
犬椎間板ヘルニアにおける経皮的レーザー椎間板減圧術は、低侵撃性で患者(ペット)の負担も少なく、特にⅡ型(突出型)の症例には有効と考えます。
皮膚から椎間板に穿刺した細いガイド針に、レーザーファイバーを送りこみ、先端よりレーザーを照射して髄核を焼灼する。 | ||
椎間板内部が焼灼され、空洞化することで、飛び出したヘルニア部位が減圧され、疼痛や麻痺の改善が図られるというものです。 |
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<適応部位> 頸部 腰部 | 椎間板へのガイド針穿刺 | 脊髄造影所見 |
術後のリハビリテーション
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プールを使ったリハビリ |